「く(9)ろ(6)」(黒)の語呂合わせで、この日は京都黒染工業協同組合が「黒の日」に制定しています。
また、鹿児島黒牛黒豚銘柄販売促進協議会も1998(平成10)年にこの日を記念日に定め、「黒の日まつり」としてセールや試食喧伝を行って普及に努めています。
黒牛に関する昔話
むかし、二人の絵かきさんが旅に出ました。
ある日、二人は宿屋で、江戸からきたという男の人といっしょになりました。
三人で話しているうちに、男の人が言いました。
「ところで、おまえさんたちのお仕事はなんですか?」
すると、一人の絵かきさんが胸を張って言いました。
「わしは絵かきじゃ。めずらしい国を旅しながら、絵をかいている」
すると、もう一人の絵かきさんも、
「わしも絵かきじゃ。二人で旅をしながら、美しい景色を絵にかいている」
それを聞くと、男の人はくやしくなり、
「それはそれは。実はわたしも絵かきでしてな。江戸じゃ、少しばかり有名ですぞ」
と、うそをつきました。
「そんなら、ひとつ三人で絵のかきっこをしましょう」
「それはいい思いつきだ」
二人の絵かきは、男の人が、どんな絵をかくのか見てやろうと思いました。
(・・・さて、これは弱った)
絵のまるでかけない男の人は、困ってしまいましたが、いまさら、うそだとはいえません。
なにくわぬ顔で、
「それじゃ、そちらから、かいてもらいましょう」
と、言いました。
そこでまず最初の絵かきさんは、おかあさんが小さい子供にご飯を食べさせている絵をかきました。
なかなか上手です。
でも、男の人は、わざとつまらなそうに言いました。
「おかあさんが、口を閉じているのはおかしい。子供にご飯を食べさせるときは、親もいっしょに口を開けるもんです。それじゃ、つぎの方」
もう一人の絵かきさんは、木こりが木を切っている絵をかきました。
これもなかなか上手です。
(さすがに絵かきだ。二人ともうまいもんだ)
男の人は、心の中で感心しました。
でも、やっぱりつまらなそうに、
「木を切っているのに、木のくずがないのはおかしい」
と、言いました。
けちを付けられた二人の絵かきさんは、おもしろくありません。
「それじゃ、あなたの腕前を見せてもらいましょう」
「よろしい」
男の人は、筆にたっぷり墨をつけると、紙をまっ黒にぬりつぶしてしまいました。
二人の絵かきさんは、びっくりしてたずねました。
「・・・?」
「・・・いったい、これはなんの絵ですか?」
すると、男の人は、すました顔で、
「これは、まっ暗闇から、黒牛が出てきたところです」