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1月16日 禁酒の日(京都でのお部屋探しは京都賃貸.com)

2010年1月16日(土) 08時17分59秒 スタッフブログ

1920(大正9)年、アメリカで禁酒法が実施された日です。
 プロテスタントの影響が強かったアメリカではこれまでに18の州で禁酒法が実施されていましたが、この日からアメリカ全土に施行されました。
 ところが、健康へ悪影響を及ぼす密造酒の横行や、ギャング出現の引き金にもなりました。

お酒に関する昔話

むかし、あるところに、むすめがひとりある夫婦がすんでいました。
 そして、むすめが結婚する日がきました。
 結婚式の日には、しんせきや知りあいの人たちを、おおぜいまねきました。
 さて、教会での結婚式も無事にすみ、こんどはむすめの自宅で、はなやかなお祝いのパーティーをひらくことになりました。
 ごちそうが山のようにテーブルにならべられましたが、まだ、ぶどう酒が出ていません。
 そこで父親が、むすめの花よめに、いいました。
「ぶどう酒がなくちゃ、どうにもならん。地下の酒ぐらにいって、もっておいで」
「はーい」
 花よめは、酒ぐらにおりていきました。
 そして、ぶどう酒のビンをタルの下にあてて、せんをぬいて、ぶどう酒がビンにいっぱいになるのをまっていました。
 花よめは、そのあいだボンヤリと、かんがえごとをはじめました。
「わたしは、とうとう結婚したんだわ。これから九か月もすると、むすこが生まれるわ。名まえは、なんとつけようかしら? ・・・そう、チッコ・ペトリロにしましょう。服をきせ、くつ下をはかせ、かわいがって育てて。・・・でも、もし、かわいいチッコが死んだりしたら、どうしましょう。・・・ああ、かわいそうな子、どうして死んでしまったの」
 花よめは、ワーッと、なきだしました。
 タルのせんは、あけっぱなしでしたから、ぶどう酒は、ザアーザアーと、床にながれっぱなしです。
 テーブルについていたお客たちは、いつお酒がくるのかと、まっていました。
 でも、いつまでたっても、花よめはもどってきません。
「ちょっと、酒ぐらへいって見ておいで」
と、父親が、おくさんにいいました。
「そうですね。ひょっとしたら、あの子は、ねむってしまったのかもしれませんね。小さいときから酒ぐらで、よくひるねをする子だったから」
 母親が、酒ぐらにおりていくと、むすめがオイオイと、ないています。
「まあっ! どうしたの? なにがおきたの?」
「ああ、おかあさん。きょう、わたしは結婚したでしょう。そうすれば、九か月あとには、むすこが生まれるわ。その子の名まえは、チッコ・ぺトリロにしようと思うの。だけどね、おかあさん。もし、チッコが死んだらと思うと、かなしくて、かなしくて」
 むすめは、またも、ワーッと、なきだしました。
「ああ、かわいそうな、わたしの孫」
「ああ、かわいそうな、わたしのむすこ」
 むすめとおかあさんは、だきあって、なきだしました。
 テーブルについていた人たちは、いくらまっても、ぶどう酒が出ないので、イライラしてきました。
「ふたりとも、なにをしているんだ。わしが見にいって、どやしつけてやろう」
 父親は、酒ぐらにおりていきました。
 すると、妻とむすめは、足までぶどう酒につかりながら、だきあって、ないています。
「おい。なにがおきたんだ?」
「おとうさん、きいてください。この子は、きょう結婚したでしょう。すると、まもなく、むすこが生まれますね。そこで、わたしたち、チッコ・ペトリロって名まえをつけることにしたんです。でも、そのかわいいチッコが死んだらと思うと、かなしくて、かなしくて・・・」
「うん。もっともだ、もっともだ。かわいそうなチッコ・ペトリロ」
 父親も、なきだしてしまいました。
 三人が、なかなかもどってこないので、
「ぼくが、見にいってきましょう」
 花むこは、そういって、酒ぐらに、おりていきました。
 すると三人は、足までぶどう酒につかりながら、ないています。
「いったい、どうなさったんです!」
「あなた」
と、花よめが、いいました。
「わたしたち、結婚したんですから、むすこができるわね。わたしは、その子に、チッコ・ペトリロと、名まえをつけることにしたんです。でも、せっかく育ったチッコが、もしも死んだらと思うと、かなしくて、かなしくて。それで、ないているんです」
「はあ? ・・・」
 花むこは、さいしょ、じょうだんをいっているのだと思いました。
 ところが、本気でいっているのがわかりましたので、三人にどなりました。
「あなたたち三人は、そろいもそろって、なんてばか者なんだ。みんな、お酒が出るのを、まっているじゃないか。いままで、こんなばか者ぞろいとは、思ってもみなかった。ばかばかしくて、気がおかしくなる。こんなうちでは、とてもくらせない。そうだ、いっそ旅にでよう。妻よ。おまえの顔を見ずにいたら、ぼくの気も、しずまるにちがいない。旅にでて、もし世間に、おまえより、もっとばかな者がいたら、もどってきて、いっしょにくらしてやる」
 花むこは、さんざんののしって、酒ぐらを出ていきました。
 そして、ふりかえりもせずに、旅にでていきました。
 旅にでた花むこは、ある川のたもとにつきました。
 すると、小舟につんだ、はしばみの実を、大きな熊手ですくいあげている人がいました。
 でも、はしばみの実は、熊手のすき間からこぼれ落ちて、なかなかすくえません。
「もしもし。熊手で、なにをしているのですか?」
「ああ、さっきから、何度もすくっているだが、ちっとも、すくいあげられないんだ」
「あたりまえですよ。なぜ、シャベルをつかわないんです?」
「シャベル? そうか、なるほどね。そいつは、気がつかなかった」
(妻たちよりも、おばかな人が、一人いた)
 しばらくいくと、川の水を小さなスプーンですくって、ウシにのませている人がいました。
「もしもし。そんな小さなスプーンで、なにをしているのですか?」
「ああ、さっきから、三時間もやっているんだが、ウシののどのかわきが、なかなかとまらねえんだ」
「あたりまえですよ。なぜ、ウシにちょくせつ、川の水をのませてやらないんです?」
「ちょくせつ? おおっ、それはいい考えだ」
(これで、おばかが、二人めだ)
 花むこは、また、あるきつづけました。
 すると、畑のくわの木のいただきに、ズボンを手にして、立っている女の人がいました。
「もしもし。そんなところで、なにをしているんです?」
「まあ、だんな、きいてくださいよ。夫が、このあいだ死んのですが、坊さんがいうにゃ、夫は天国へいったちゅうことです。そこで、わたしゃ、もどってきたら、このズボンをはかそうと思って、まってるだよ」
(三人めのおばかだ)
 世間には、妻よりもばかな者が、三人もいた。
 これでは、うちへかえったほうがよさそうだ。
 花むこは、そう思って、うちへかえりました。
 この後、うまれた子どもに、チッコ・ペトリコと名づけましたが、チッコ・ペトリコは、とても長生きしたそうです。



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